ご挨拶
2003年6月、取材で春日山城に登りました。想像をはるかに上回る大規模な山城の頂から、越の国の広大な天地を眺めたときのおそれとふるえは、今でも忘れられません。長編歴史小説の挿絵という初めての大役に、不案内な心持をぬぐいきれなかった私は、青葉燃える春日山の息吹に力添えを願い、新たな志の灯を心に灯して帰京しました。
同年秋(新潟では2004年1月)、掲載が開始すると、おそれもふるえも日常、向き合うしかありません。挑戦を重ね続けた460回一一それは、私のように小さな人間には普通は経験できない貴重な修行であったと思います。連載が終了した2005年5月、新潟大和での挿画展の際に、多くの愛読者の方々から、直に温かい励ましのおことばを頂戴しましたことも大変得がたい経験でした。
それから二年、 NHK 大河ドラマ化決定という大きな喜びを記念して、改めてまた作品を見ていただけるのですから、ほんとうに尊いご縁であるというほかありません。ご支援くださったみなさま、長年にわたりドラマ化にご尽力された関係者のみなさまに、心をつくして御礼申し上げます。
2009年、『天地人』の新しい世界をみなさまとともに心待ちにしたい、春日山でいただいた心の灯をこれからも燃やしつづけていきたいと願っています。
中村麻美
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