本年も宜しくお願い申し上げます。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今年は子年なので、有名なこのお話を年賀状の絵に選びました。
しかし、このお話も、今ではもう知っている人が少なくなっているのかもしれませんね。いかがでしょうか。


「雪舟 涙で描く鼠の絵」

室町時代の水墨画家・雪舟(せっしゅう)(1420~1506)の子供の頃のお話です。

雪舟は岡山県総社市(そうじゃし)の宝福寺という禅寺に幼くして入門しましたが、禅の修行はそっちのけ、くる日もくる日も好きな絵ばかり描いて過ごしていました。

ある日のこと、和尚(おしょう)は雪舟を本堂の柱に縛りつけてこらしめることにしました。夕方になって、雪舟も反省したことであろうと思い、和尚は薄暗くなった本堂をのぞいて見ました。すると、泣き疲れて眠り込んでいる雪舟の足もとに一匹の大きな鼠(ねずみ)がうずくまっており、今にも足に這い登ろうとしています。「シッ!」。和尚は鼠を追い払おうとしました。しかし、鼠は動こうとしません。ドン! 床を蹴ってみましたが、やはり動きません。そろりと近寄って、じっと覗き込んで見て、和尚は驚きました。はっきりと生きた鼠に見えたそれは、床に描かれた絵だったのです。雪舟は涙を墨がわりに、足で鼠の絵を描いたのでした。目が覚めた雪舟は、あわてて鼠の絵を蹴散らそうとしました。

しかし和尚はやさしい声で言いました。
「待ちなさい。かねがねお前の絵心は知っておったが、これほどまでとは思っておらなんだ」
雪舟の才が普通でないことを見抜いた和尚は、それからは雪舟が絵を描くのを決してとがめませんでした。