「伝えたい日本のこころ」

中江藤樹 馬子の正直


中江藤樹 馬子の正直 - Nakae Toju Horseman's honesty




中江藤樹 馬子の正直





「伝えたい日本のこころ」第三話。
今、切実に問われている、ひとの誠実さ、正直さ、利他のこころ、についてのイメージ、
こうしたお話をお子さんお孫さん、ご家族でいかがでしょうか。
前回の「母への薬」でご紹介した『近江聖人』こと中江藤樹(1608~1648
)にまつわるお話です。


とある武士が主君の命で江戸へいき、その帰り、近江の宿に着きました。ところがその武士は、主君にとあずかってきた数百両の金を馬の鞍に結び付けたまま、道中で雇った名前も知らない馬子(馬を引き、荷物を運ぶ人)をうっかり返してしまいました。
気がついたのはしばらくたってからでした。
どう考えても取り戻せる見込みはありません。主君に申し開きをするには、
腹を切って詫びるしかありません。
武士は覚悟を決め、遺書をしたためました。
するとその晩、
宿の戸を激しくたたくものがありました。それはなんと、昼の馬子でした。うちについてから忘れ物に気づいた馬子は、四里(約16Km)の道を歩いて戻って来たといいます。
「これはお侍さまの大切なものでしょう。お返しします」
当然のことをしたまで、礼金は要りません、と言いはる馬子に、武士は心底驚き、感動してたずねました。「どうしてそなたは、それほど無欲で、正直で誠実でいられるのか。このような者がいようとは思いもよらなかった」
すると、馬子はこう答えたのです。
「私たちの小川村に、中江藤樹という先生が住んでおられます。先生は、人生の目的は自分の利益ではなく、正直に人の道、正義に沿って生きることだ、とおっしゃいます。私たちはその教えに従って暮らしているだけです」


「それ学問は心の汚れを清め、身の行ないを良くするを以て本実とす」
勉強する目的は、正直で誠実な心を持ち、正しい行動ができるようにするためですーー道徳の時間に、そんなふうに教わって、心に灯がともったように感じられらたこと、懐かしく思い出しますね。

しかし今は、日本人がそんなことを?と耳を疑うような、非道な出来事、悲しいニュースも多い毎日です。
こうしたお話が、いつの世にも温かく、そして誇りをもって伝えられ、子どもたちの人生を照らしてくれること、未来を明るいものにしてくれることを、今こそ願ってやみません。




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